「父は、『六法全書を丸暗記した』と言ったことがあります。」

「なぜ、丸暗記したかは言っていないのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。しかし、今考えれば、真剣で立ち会って相手が死んだとき、殺人犯にならずに済む方法がないか、類似した事件の判決を研究したのだと思います。」

「殺人犯になりたくないので、六法全書を丸暗記するほど徹底して研究したということですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。江戸時代であれば犯罪にはなりませんから、何か方法があるはずだと考えたのかも知れません。」

「六法全書の丸暗記も抜刀術と繋がっているのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。しかし、いくら研究しても殺人犯にならずに済む方法がなかったので、志願兵として満州に行き馬賊を率いる清朝の武人と立ち会うしかないという結論になったのだと推定しています。」

「国内で真剣で立ち会い殺人犯にならない方法があれば、志願兵にはならなかったということですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。六法全書を丸暗記するほど研究したのは、軍隊では自由に行動することが難しいと考えたからだと思います。」

「18歳で志願兵になり、満州に行っても、馬賊を率いる清朝の武人と一対一で立ち会うのは難しいでしょうね」と町会長。

「おっしゃる通りです。父は、立川の学校に行っていたころ、当時、花形職業であった養蚕教師をして短期間に大金を稼いでいます。」

「『養蚕教師』と言いますと?」と町会長。

「ウィキペディアの『養蚕業』に、『養蚕業は、カイコ(蚕)を飼ってその繭から生糸(絹)を作る産業である・・・養蚕業は蚕を飼うためクワ(桑)を栽培し繭を生産する。繭を絹にするために製糸工場で繭から生糸へと加工され、生糸をさらに加工して絹織物などの繊維になる・・・かつて養蚕業は日本の主要産業であった』という記述があります。」

「しかし、10代のときのお父さんが、立川の学校に通いながら、『養蚕教師』をして、大金を稼ぐことが可能とは思えませんが」と町会長。

「ウェブで調べると、当時、『養蚕教師検定試験』というのがあったので、それに合格して、養蚕教師になったのだと思います。」

「養蚕教師になると、どのくらい稼げたのですか」と町会長。

「父は、『学校の先生の100倍くらいは稼げた』と言っていました。」

「それでは、現在の円に換算すると、年間数千万円も稼いだということですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。『軍隊に入隊する前に、遊郭に1カ月泊まり込んで遊んだ』と言っているので、大金を稼いだのは間違いありません。」

「AIのプログラマーなら年間数千万円稼ぐ人がいるので、当時の養蚕教師は、現在のAIのプログラマーみたいなものだったのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。父は弁護士の資格を持っていると言ったことはないのですが、身内の問題で一度だけ、弁護士として法廷に立っているのです。」

2021/5/31

<筆者の一言>
筆者は、『あそこまで体力が上がると院長は長くはない』と思った。そして、『もう、歯の治療に行くのはやめよう』と思った。それから半年ほどして、歯が一本だめになった。しかし、歯医者には行かなかった。それから、もう3ヶ月ほどすると隣の差し歯が抜けてしまった。

しかし、院長が生きているはずがない。自己治療で硬結を緩めていくと、体の可動性が上がり、体力が上がっていく。1年もたって、この硬結さえ緩めれば若返ると確信し、最後の硬結を緩めて寝ると、翌朝起きた時、体が全く動かないことに気がつく。手を動かして治療機を持つことさえ難しい。突然、全身に脾虚の硬結が現れるためだ。

枕元にスマフォがあれば、時間をかけて救急車を呼ぶことができるかも知れない。しかし、病院に行ったとしても原因が分かる医者はいない。治療の方法もわからない。助かるはずがない。

筆者の場合は、腎のシュリーヤントラがあったため、経絡がかすかに流れていて、手はなんとか動かすことができた。しかし、院長は腎のシュリーヤントラを持ってはいない。<続く>

2024/5/16